この作品は、8つの短めの物語(一つはエッセイ)で構成されており、どの物語も胸がざわつくような、重くのしかかるようななんともいえない読後感がありました。
特に印象的だったのは、唯一のエッセイ「気持ちよさという罪」という作品です。
「多様性」という言葉の気持ちよさ、安心感に負け、「多様性」とは反対の側面に加担してしまったことへの村田沙耶香先生自身の後悔が綴られています。
「安全な場所から異物をキャラクター化して安心するという形の、受容に見せかけたラベリングであり、排除なのだ。」
保育の中でも「個性」「多様性」という言葉は切っても切れない関係にあります。
一見「個性」「多様性」もなんとなくわかったような気になっている言葉の一つかなと感じています。そしてなんとなくポジティブな言葉という感覚で、自身の生活や保育の中でも多様してしまっているなと反省しました。
その反面、様々な場面で「この考え、価値観は少数派だな」と感じることが多々ある私自身は、この村田先生の心の吐露におこがましいながら一緒に苦しさを感じました。
本の世界は自身の無意識の扉をノックしてくれるような感覚におちいります。(そのノックは時として激しかったり、気づいたら扉ごと消えていたりと様々ですが。)
今回も、朝井リョウ氏の書かれた「正欲」という作品にも通ずる、自分自身でよく考えて理解を深めていきたい言葉、価値観でした。
ぜひみなさんにも読んで感想を伺いたいです!
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